村山由佳/著 文藝春秋/発行 2009年
村山さんは『天使の卵』などで有名な直木賞作家です。
何冊かしか読んだことがありませんが(それもかなり前に)、この本が新聞で紹介されていたので、久々に読んでみました。
なんだか久しぶりに一般の文芸書を読んだので(ミステリーを除く)、結構しんどかった。
児童書でもファンタジーでも、作者の「伝えたいこと」というのはもちろんあって、ちゃんと読み取っているつもりなのですが、フィルターを通してあるから、そこまでダイレクトに堪えない。
ところが、この本の舞台は現代日本、主人公は自分と同年代。
普段、他者や世の中に対して漠然と感じていることや、何となくわかっている自分の嫌なところ。
そういうのって、「何となく」だからキツくないんだなぁ、と実感しました。
一流の作家の手で、的確な文章になってしまうと、「何となく」ではなく「ハッキリ」突きささってくるので、しんどい。
もちろん、私=主人公という意味ではなく、何人もの登場人物たちの部分部分が、時折自分と重なって、超ブルー(笑)
この本では主人公が周囲の人間に対して、いろいろいろいろ考えるのですが、それがまるで自分に対して言われているみたいで。
さらには、自分ではなく、自分のちかしい人たちに当てはまることが出てきて、「その通りや」と気付いてしまったりして、さらにブルー。
だって、自分のことは自分が努力すれば改善できることもあるでしょうが、ひとのことはねー・・・
この本、主人公が売れっ子脚本家という設定なので、ほんまに言葉が鋭い。
話の筋はともかくとして、作者の筆力に完敗です。
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